相続に関するよくある質問

私たち夫婦には子どもがいません

詳細

今住んでいるマンションなどの私の財産は全部妻に遺したいのですが…何もしなくても大丈夫でしょうか?

解答

遺言を作ることをお勧めします。お子さまがいらっしゃらない場合は、奥様だけでなく、兄弟姉妹(亡くなられている場合には、甥や姪)の皆様も相続人となります。そのため、仮に遺言がない場合には、すべての財産を奥様に残すことはできません。今お住いのマンションも奥様とご兄弟の共有となってしまいます。ただ、ご兄弟にはいわゆる「遺留分」がありませんから、遺言さえ作ってしまえば、奥様にすべての財産を残すことができます。
お子さまがいらっしゃらないご夫婦には、遺言を作られることを強くお勧めします。

相続人の一人にすべての財産を残したい

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私には,2人の子供がいます。私は,上の子の家族と、私名義の家で長年同居していて、上の子はいままでずっと私の生活の面倒を見てくれました。一方、下の子は、私とも上の子とも折り合いが悪く、もう何年も音信不通です。私としては、遺言を書いて、家を含めた全財産を上の子に遺したいと思っていますが、私の死後に、下の子から「遺留分」を請求されたら、上の子は家を出なければならないと聞きました。なんとかならないでしょうか。

*これまでの多数のご相談、解決事例を基に作成した質問例です。

解答

対策を考えましょう。 配偶者やお子さまには「遺留分」という、遺言でも奪うことができない権利があります。すべての財産を1人のお子さまに残すことを希望される場合には、この遺留分の問題を十分に考えておかないと、遺言が亡くなられた後のトラブルの種になりかねません。この対策として、ご自身の財産の内容をできるだけ正確に把握した上で予想される遺留分相当額を現金や預金の形でプールしておくこと、あるいは、遺言を作られる前後に、ご家族に内容を説明して理解を得るよう努力することなど様々な方法が考えられます。もちろん、完璧な対策は難しいのですが、できる限りの対策を講じておくほうがよいでしょう。遺言を作られる前にぜひ一度ご相談ください。

遺品の整理をしていたら親の手書きの遺言が出てきました

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先日亡くなった母の遺品を整理していたら、母の手書きの遺言が出てきました。まだ、他の兄弟には見せていないのですが、何か注意することはありますか。

解答

まずは、裁判所の「検認」手続をしましょう。
手書きの遺言を発見された場合、家庭裁判所で「検認」をしてもらうための手続をとる必要があります。検認とは、相続人立会いのもとで遺言を開封し、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、遺言の状況などを確認し、遺言の偽造や変造を防ぐための手続です。法務局や金融機関等で遺産の名義変更を行う場合にも、検認が行われていないと手続を進められないが場合があります。
また、遺言が封印されている場合には、裁判所で開封することになりますから、検認の前に開封しないように注意しましょう。開封しても遺言が無効になるわけではありませんが、後で遺言を偽造、変造したなどと言われてしまうこともありますから、十分に注意が必要です。
検認手続は、戸籍など必要書類をそろえれば、それほど難しい手続ではありませんが、検認を申し立てると、家庭裁判所から相続人全員に呼び出しが行われますから、相続人間で争いが起きそうなので不安という場合には、事前に一度ご相談ください。

認知症の気があった父が亡くなった後、遺言が出てきました

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遺言には日付もありましたが、そのころ、父に遺言を書くことができたとは思えません。こんな遺言に効力があるのでしょうか。

解答

効力がない可能性もあります。
遺言が有効であるためには、その遺言を作成した当時、お父様に物事を判断するための一定の能力(「遺言能力」といいます)がなければいけません。認知症であったり、ご病気のために判断力が鈍っていたりした場合、それだけですぐに遺言能力がなかったとは言えませんが、お父様が認知症であったということであれば、遺言能力がなかった可能性もあります。遺言能力の有無については裁判で争われることも多く、遺言の内容や遺言者(お父様)の心身の状況、遺言が作られた経緯などの様々な要素から判断することになります。ご判断に迷われるようなら、ぜひご相談ください。必要に応じてカルテの取り寄せなどの手続もお手伝いいたします。

相続関係の手続が面倒です

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先日、父が亡くなりました。住んでいたマンションの名義変更やいくつかある預貯金の解約などしなければいけないと思うのですが、何から手をつけたらいいかわかりません。銀行の方に聞いたら、手続も面倒なようなのですが…

解答

相続関係の手続だけを依頼していただくことも可能です。
身内の方が亡くなられると、悲しみにひたる暇もないほど様々な事務手続が次々に押し寄せてきます。マンションの名義を変更するための相続登記手続や預貯金・有価証券等の解約をするには、相続人皆様の住民票・戸籍謄本の取り寄せ、各種申請書類の作成などを行っていただいたうえで、平日に法務局や銀行等で手続をする必要がありますので、なかなかご自身で手続をすることが難しいという方もいらっしゃいます。遺産の分配方法に争いがない場合に、このような手続をまとめて弁護士に依頼していただくこともできますので、一度ご相談ください。

相続人が誰なのかはっきりわかりません

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叔父の相続問題です。叔父は独身で、子どももいなかったようなので、私の母を含めた兄弟たちが相続人になると思うのですが・・母の両親は亡くなっていますし、兄弟の中にも既に亡くなられた人がいて、母が連絡先を知らない人もいるようです。どうしたらいいでしょうか。

解答

戸籍をたどって相続人の調査をしましょう。
今回の場合、叔父様が独身でお子様もいらっしゃらず、ご両親もすでに亡くなられているということであれば、叔父様のご兄弟の方が相続人となり、また、ご兄弟の中で既にお亡くなりになられた方がいらっしゃる場合は、その方のお子様が相続人になります(代襲相続)。叔父様の本籍から遡ってご兄弟の方それぞれの戸籍を取得し、その方が亡くなられている場合は、さらにその方のお子様の戸籍をたどることで、現時点での相続人を確定することができます。相続人の方のご連絡先がわからないという場合にも、戸籍の附票から住民票をたどるという方法があります。
ご自身で手続をとられるのはちょっと難しい、という場合には、当事務所で承りますので、一度ご相談ください。

私の死んだ後に遺言の内容がちゃんと実現できるのか不安です(遺言執行)

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遺言を書きたいと思っていますが、実は、子ども同士がそんなに仲が良くないこともあり、私が死んだ後にほんとうに遺言どおりに遺産が分けられるのか心配です。

解答

「遺言執行者」を指定しましょう。
遺言を書かれた方が亡くなられたあと、実際にその遺言の内容を実現するために、手続を進める人のことを「遺言執行者」といいます。相続人の中に遺言の内容に不満を持たれている方がいても、遺言執行者を指定することで、手続をスムーズに進めやすくなります。
遺言執行者には、どなたでもなることができますから、お子様を含め、信頼できる人を遺言執行者に指定すべきでしょう。ただ、お子様の間で深刻な争いが起こることが予想される場合には、弁護士などの専門家を遺言執行者に指定しておくと安心な場合もあります。

認知症の気があった父が亡くなった後、遺言が出てきました。

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父の遺言が出てきました。遺言には日付もありましたが、そのころ、父は認知症の症状があり,遺言を書くことができたとは思えません。こんな遺言に効力があるのでしょうか。

解答

効力がない可能性もあります。
遺言が有効であるためには、その遺言を作成した当時、お父様に物事を判断するための一定の能力(「遺言能力」といいます)がなければいけません。認知症であったり、ご病気のために判断力が鈍っていたりした場合、それだけですぐに遺言能力がなかったとは言えませんが、お父様が認知症であったということであれば、遺言能力がなかった可能性もあります。遺言能力の有無については裁判で争われることも多く、遺言の内容や遺言者(お父様)の心身の状況、遺言が作られた経緯などの様々な要素から判断することになります。ご判断に迷われるようなら、ぜひご相談ください。必要に応じてカルテの取り寄せなどの手続もお手伝いいたします。

私の死んだ後に遺言の内容がちゃんと実現できるのか不安です(遺言執行)

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遺言を書きたいと思っていますが、一人,気の強い子どもがいるため,私が死んだ後にほんとうに遺言どおりに遺産が分けられるのか心配です。

解答

「遺言執行者」を指定しましょう。
遺言を書かれた方が亡くなられたあと、実際にその遺言の内容を実現するために、手続を進める人のことを「遺言執行者」といいます。相続人の中に遺言の内容に不満を持たれている方がいても、遺言執行者を指定することで、手続をスムーズに進めやすくなります。
遺言執行者には、どなたでもなることができますから、お子様を含め、信頼できる人を遺言執行者に指定すべきでしょう。ただ、遺言の内容に不満を持つお子さまがいて,お子様の間で深刻な争いが起こることが予想される場合には、弁護士などの専門家を遺言執行者に指定しておくと安心な場合もあります。あるいは,指定された遺言執行者(お子さま)が弁護士に遺言執行を依頼することもできます。

ご事情をお聞かせいただければ,お勧めの方法をご提案いたします。

父の生前、兄弟の中で私だけが父の面倒をみてきました。(寄与分)

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遺産分割の話し合いをしています。兄弟の中で、私だけが父の面倒をみてきたのですが、そのことを考慮して遺産を多めにもらうことはできますか。

解答

相続人が、被相続人(お父様)の生前、財産の維持や増加に特別の貢献をした場合には、その相続人に法定相続分より多くの財産を取得させる「寄与分(きよぶん)」という制度があります。例えば、お父様を介護してくれる子どもがいたおかげで、介護費用を出費せずにすんだという場合には、その分財産が減らずにすんだ=財産の維持に特別の寄与をした、と考えて、その子どもはその分多めに相続するというイメージです。
これからのお話し合いの中では、他の相続人の方に、「寄与分」の話をして、これを認めてほしいときちんと話してみるべきでしょう。話し合いでまとまりがつかない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることも考えてみるべきだと思います。いろいろ難しそうだなと思われたら、弁護士に相談することをお勧めします。

姉は両親の生前にいろんな援助を受けています。それでも相続は平等ですか。(特別受益)

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母が亡くなって、姉妹で遺産を分けることになりました。姉は、自宅の購入資金を出してもらったり、経営するお店の資金を出してもらったり、両親からたくさんの援助を受けていますが、私はほとんど両親から援助してもらったことがありません。それなのに、遺産を半分ずつ分けるというのは不平等だと思うのですが、どうでしょうか。

解答

確かにそのとおりですね。
特定の相続人だけが被相続人から資金援助など特別に贈与を受けている場合、遺産を分けるときに、このことを考慮しないと不公平だと考えられます。法律的には、その相続人には「特別受益」があるとして、この特別受益を考慮して遺産を分けることとされています(特別受益は絶対に考慮しなければならないわけではないので、他の相続人の方が考慮しなくていいと考えたときには、特別受益のことを考えずに遺産を分けても問題はありません)。特別受益がある場合には、この額を遺産総額に加算したうえで、それぞれの取得分を計算していくことになります。法律で認められていることですから、納得のいく結論が出るよう、お姉さまときちんとお話されるべきだと思います。特別受益の計算方法が難しい、話し合いの方法で迷ってしまうという場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

先日亡くなった父に多額の借金があり、相続放棄を考えています。

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父の相続のことで悩んでいます。亡くなった父には相当多額の借金があったようなのですが、今は正確な額がわかりません。借金の額が大きい場合には相続放棄も考えているのですが、どうしたらいいでしょうか。

解答

プラスの財産よりマイナスの財産が多いという場合には、相続を放棄することができます。相続放棄というのは、プラスもマイナスももらわないということですから、借金は放棄するけど、預金と不動産は放棄したくないということはできません。相続を放棄するためには、家庭裁判所で正式な手続をとる必要があります。親戚の前で「もらわない」と宣言してもダメです。期間も決まっていて、相続が始まったことを知ってから(通常は被相続人が亡くなられた日から)3か月以内にこの手続をとらなければいけません。
問題は、プラスとマイナスのどちらが多いのかわからないという時ですね。できるだけ3か月以内に決断することがお勧めですから、ご自分で調査するのが難しいという場合には弁護士などの専門家に依頼してしまった方がいい場合もあります。また、一定の場合には、3か月の期間を裁判所に延長してもらう手続もありますので、ご自分で判断するのが難しい場合には、今後の方針を教えてもらうためだけでもいいので、早目に1度専門家に相談されることをお勧めします。

父の遺産の状況がわからず、相続するか放棄するかをなかなか決められません。

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先日父が亡くなったのですが、財産の状況もはっきりわからないうえに、詳しくはわからないのですが借金もあるようです。借金の方が多いなら相続を放棄したいのですが、相続放棄ができるのは亡くなった日から3か月以内だと聞きました。そんな短期間に判断することは無理です。どうしたらいいのでしょうか。

解答

熟慮期間を延長する手続をとりましょう。
相続を放棄するためには、相続が始まったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で放棄のための手続をとらなければいけません。そして、相続が始まったことを知った日というのは、被相続人が亡くなった日と考えられます。この3か月の期間を「熟慮期間」と言います。
身内の方が亡くなられた後は、親族・友人の方への連絡、葬儀や納骨のほか各種の手続がどっと押し寄せてきますから、借金を含めた財産の状況がよくわからないときには、3か月なんてあっという間という場合もあるでしょう。そのようなときは、家庭裁判所で熟慮期間を延長してもらうための「熟慮期間伸長」の申立てをしましょう。これは、単に忙しいから考えられないというだけでは認められませんが、財産の種類や評価の難しさ、財産がどこにあるか、など様々な事情からみて、遺産の状況を把握するのに、3か月という期間が短いと言える場合には認められるものです。熟慮期間伸長の申立て自体は、3か月以内に行わないといけませんから、判断が難しいときには、早い段階で専門家に相談してみることがお勧めです。

亡くなった日から3か月が過ぎてしまいました。もう相続放棄はできないのでしょうか。

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父とはもうずいぶん長い間音信不通で、父の生前には、遺産の状況をまったく知りませんでした。亡くなってから半年後に初めて、父にはずいぶん借金があったことがわかったのですが、死んだ日から3か月を過ぎたら相続の放棄もできないと言われて本当に悩んでいます。もうどうにもならないのでしょうか。

解答

諦めずに一度相談にいらしてください。
相続を放棄するためには、相続が始まったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で放棄のための手続をとらなければいけないとされています。この3か月の期間は「熟慮期間」と呼ばれるものです。
そして、熟慮期間が進行を始める、相続が始まったことを知った日というのは、通常、被相続人が亡くなった日と考えられています。しかし、ご家族の関係など様々な事情から、熟慮期間内に相続放棄をすることが難しかったという場合、相続放棄を認めないことが不合理だというケースもありえます。そこで、特別の事情がある場合には3か月の熟慮期間を過ぎた場合でも相続放棄が認められる場合もあるとされています。
ご相談のケースでは、このような特別の事情が認められる可能性もありますから、ぜひ一度ご相談にいらしていただければと思います。